窯出し〈44回目〉

今回の窯は、酸化焼成の緋襷です。昨年注文をいただいた時に予備に使っていたものと、4年ほど前に作って窯に入り切らずに残っていたものを焼きました。

これまでは、「f」(名前・ふくみの頭文字)という刻印でしたが、昨年作ったものは和食器ということもあり、「ふ」と手書きで彫り込んでみました。

焼いてみると、作った時期により、雰囲気が全く違うことに改めて驚きました。

緋襷は色合いを同じようにするのが本当に難しいので、違いを楽しんで使っていただきたいと思いつつ、藁の付着物を取ったり、底を滑らかにしたりと、寒いので短時間で工房での作業を終わらせて、家でできることはなるべく家で作業するように工夫して極寒の2か月を乗り越えたいた思います。

素焼き前〈緋襷菱形向付〉

乾燥後に口と高台をやすりで滑らかにして、素焼き前の最後の処理。力を入れ過ぎると欠けたり割れたりしてしまうので、微妙な力加減で進めていきます。無事完成することを祈りながら…
いろいろに使える菱形向付です。

菱形向付の成形

菱形向付は、断熱材として使われるスタイロフォームという建材を加工して型を作って、内型成形という技法で制作しています。

1.たたら(粘土を板状にしたもの)を内型にのせて、トントンと叩いて粘土を締める。
2.高台部分は、より(粘土を紐状にしたもの)を後付けする。
3.接着部分を滑らかにする。
4.全体的に滑らかにする。
5.高さを揃えてカットする。
6.高台の高さを揃えてカットする。
7.高台の型をはずして、接合部分の隙間を押さえる。
8.最後に判を押す。
9.乾燥時に内側に反りやすい部分を外側に拡げてゆっくり乾燥させる。
10.少し固くなったところで、口と高台をきれいにカットして成形完了。

上記は、2016年9月に開催した「長沼の食を愉しむ」という器と食のイベントの際に作った時のものです。

長沼町の4軒のごだわりの農家さんの食材を使って、発酵料理研究家の筒渕信子さんに作ってもらい、器(父・岩井孝道と娘・池上ふくみ)とともに愉しむイベント。ダイニングテーブルや椅子はKen’s Wood Workingの都築謙司さん、お花は創MAOIの佐藤弘子さんはじめ、多くの方々のご協力で素敵なイベントになりました。

菱形向付の成形が終わりました

5月に注文を受けて、久しぶりの制作ということもあって、3か月の猶予をいただきました。5月は主に粘土の硬さの調整と寝かしをし、残量の少ない粘土の替わりに別な粘土で試作を作り、慣れてきた頃にはもう7月。

しかも、じめじめした天気のせいか、6月末は体調が優れず、朝の動きが悪かったので、1日に作業する時間が4時間くらいとなかなか進まないうちに、ちょっと焦りが出てきました。

それでも注文数の倍くらいを成形して、今日、すべての仕上げが終わり乾燥に入ることができました。

なるべく重さが一定になるように計測しながら成形
中央に高台の木型を置くようにガイドをつけています
見本の器に農家のお友達が持ってきてくれた初物の焼き茄子を盛り付けてみました

菱形向付の成形

粘土を練る。土練機がないので、すべて手で練る。土の感触が伝わってくる。
さあ、前回100gの差があったと指摘を受けた器の重さを均等にすべく、なるべく同じ厚さになるように気を遣って成形。
新しく導入した5.5mm厚さのタタラ板の効果もあり、同じくらいの重さにできるようになってきた。
成形作業も残り半分。

月曜日から本格的に成形を始めた緋襷の菱形向付がやっと安定してできるようになってきました。

内型を使ったタタラ成形で少し乾燥しないと形がへたったり、高台部分が歪むので、型の上に1〜2時間は置いてから型を外します。

この型の上に置いておく時間は、なかなか微妙で、湿度や天気にもよりますが、6時間くらい置きっ放しにすると、粘土が乾燥してきて、せっかく作った器が裂けてしまうという悲しい事態に。

乾燥には特に気を遣いながら、作っています。