見えないこと

何ができるのか、できる可能性があるのか調べるのが好き。その時、無意識のうちに”この範囲で”できること、とどこかで範囲を決めてしまうことは多い。振り返れば、あの時も、あの時も。

なぜ、続けようと思うのかという話になった時、その現実を一番知る母は「難しいから」と言い切った。母は強し。

見えない海を彷徨うように、必要なものを探して、求めることが実現しそうな空間はいったいどこなのか。初めからブレないことは、ライフワークであるということ。

何かに少し近づくために、旅をする。

絡み解け、チーズの如く

何となく気になっていたことが、少しずつ紐解けてきた感覚。

まずは、この講演から。
https://www.channel.pr.kyoto-u.ac.jp/video/10271

そして、
今どきこんなのことも公開されているので、ありがたい限りです。
https://www.dpac.dpri.kyoto-u.ac.jp/enomoto/pymetds/Introduction.html#colaboratory

少しずつ始めてみよう。

#気象学 #夜の雨 #防災 #legendary #python #colaboratory #組紐

展示会まであと半月

3月に入り、少し工房が暖かくなってきました。今日は、施釉。少し大きな楕円鉢と深さのある丼があるため、樽の半分ほどに減ってきた釉薬を2つ合わせて1つの樽に移す作業から。

濃度を調整して、施釉。

以前、試験していた珪石を添加した白釉と、カオリンを添加したビードロ釉をカトラリーラストに掛けてみました。

その後、昨年の秋に調合してあった7つ目の樽の釉薬をテストピースに掛けてみました。調合のミスがないとは限らないので、本番の前に必ずテストピースで焼いてみて、確認します。そのためには、釉薬が十分残っているうちに、次の釉薬の調合を行う流れになります。

展示会の方は、ほぼ計画どおりに準備が進んでいて、私は週明けにかけて一度窯を焚いて、ご案内を送ったり、備品の準備と、窯出し後に納品リストを再度修正して、売上管理のためのシール貼りなど。

その他、今回小さな写真のパネルなどを印刷するので、画像データを選んだり、加工したりと、制作以外のことが多かったけれど、けっこう好きな作業なので、どんな感じになるか展示が楽しみ。

多くの方々のご協力で、リーフレットの配布も完了
いつもより、やや暗い色味に見える

グレーの澱青

6年前、私が父の跡を引き継いで器づくりを始めた時、父が一部の土と釉薬を託したTさんが、たぶんこの土と釉薬は使わないだろうからと、1組の土と釉薬を手稲から何度も何度も運んできてくれました。

その土と釉薬で焼けるのが「澱青」(でんせい)という文字通り澱みのある青色で、国立博物館で観た中国鈞窯の澱青に近い色だったのでこの名前をつけたと父の資料にありました。

Tさんが手稲と長沼を何度も往復して持って来てくださった重い粘土と釉薬を使いたいと以前から思っていました。

りんご灰釉は淡い色に貫入が入っているので、コーヒーカップやカレー皿など色の強い食材に使うと使い込むほどに貫入に色が入っていきます。

父・岩井孝道作コーヒー碗 1985年頃制作

これは、陶器ならではの味わいですが、やはり綺麗な色のままがいいと思われる方も多いかと思います。

私もあまり強く色が入るのは好きではありません。

限られた原料ですので、前述のコーヒーカップやカレー皿などに限定し、澱青の器を作りたいとおもったのでした。

成形から、素焼きは昨年行い、なかなか本焼きの思い切りがつかず、9月末に父に焼成曲線の確認をして、

10月初旬、窯を開けました。

「え?」完全に失敗でした。

青い色が全く出ていなかったのです。

全くのグレー。

さあ、どうするか。

考えてもしょうがないので、父に見てもらうことにしました。

父の所見は「30℃くらい温度が低い感じ。二度焼きするより、りんご灰釉を焼く時に1つだけ入れて色の出方をみたらよい」とのこと。

前に、娘の粘土遊びをした時に、彼女の希望でりんご灰釉と違う色の釉薬として、澱青をりんご灰釉と一緒に焼いた時、いい色合いが出ていたのを思い出しました。

澱青に使っている北海道新十津川町弥生地区の粘土は、耐火度が低いので、あとはいい形を保ってくれるかの確認をすればよいということになります。

今ある釉薬がなくなった後に使える釉薬についても試験をしましたが、この試験も温度を変えて再度やり直し。

一年の半分が冬の北海道で、今年は工房のストーブを止める暇はないなぁ。

わら灰釉の試験

次回の窯焚きで焼成する澱青(でんせい)という釉薬は、父が20年以上前に調合したと思われるもので、残り50リットルくらいしかないので、その後に使える釉薬の試験を同時に行う予定です。

昔の記憶を辿ってもらいながら、りんご灰、わら灰、長石を使って14パターンの試験をすることになりました。

今回、テストピースの焼成が間に合わず、まずは7パターンを。

どんな結果になるか楽しみです。

釉薬の厚さをなるべく一定にしながら、施釉していきます