6年前、私が父の跡を引き継いで器づくりを始めた時、父が一部の土と釉薬を託したTさんが、たぶんこの土と釉薬は使わないだろうからと、1組の土と釉薬を手稲から何度も何度も運んできてくれました。
その土と釉薬で焼けるのが「澱青」(でんせい)という文字通り澱みのある青色で、国立博物館で観た中国鈞窯の澱青に近い色だったのでこの名前をつけたと父の資料にありました。
Tさんが手稲と長沼を何度も往復して持って来てくださった重い粘土と釉薬を使いたいと以前から思っていました。
りんご灰釉は淡い色に貫入が入っているので、コーヒーカップやカレー皿など色の強い食材に使うと使い込むほどに貫入に色が入っていきます。
これは、陶器ならではの味わいですが、やはり綺麗な色のままがいいと思われる方も多いかと思います。
私もあまり強く色が入るのは好きではありません。
限られた原料ですので、前述のコーヒーカップやカレー皿などに限定し、澱青の器を作りたいとおもったのでした。
成形から、素焼きは昨年行い、なかなか本焼きの思い切りがつかず、9月末に父に焼成曲線の確認をして、
10月初旬、窯を開けました。
「え?」完全に失敗でした。
青い色が全く出ていなかったのです。
さあ、どうするか。
考えてもしょうがないので、父に見てもらうことにしました。
父の所見は「30℃くらい温度が低い感じ。二度焼きするより、りんご灰釉を焼く時に1つだけ入れて色の出方をみたらよい」とのこと。
前に、娘の粘土遊びをした時に、彼女の希望でりんご灰釉と違う色の釉薬として、澱青をりんご灰釉と一緒に焼いた時、いい色合いが出ていたのを思い出しました。
澱青に使っている北海道新十津川町弥生地区の粘土は、耐火度が低いので、あとはいい形を保ってくれるかの確認をすればよいということになります。
今ある釉薬がなくなった後に使える釉薬についても試験をしましたが、この試験も温度を変えて再度やり直し。
一年の半分が冬の北海道で、今年は工房のストーブを止める暇はないなぁ。