想い

今朝の馬追丘陵は、霧に包まれておりました。
バス停に向かう道は川沿いにあり、霜が降りるこの季節は朝霧が発生することが多く、防風林と田畑に霧がかかると、とても美しく幻想的な風景が現れます。

バス停に送った後の帰り道は、登る陽が霧に包まれて何とも言えない柔らかい光に覆われます。まるでカシミアのストールを身につけた時のように。

余りにも美しい風景は、停車して撮影するのを許してくれません。霧が深く、停車するのが危険だからです。山登りをして、条件がよくない時に引き返す判断ができるかどうか、一線を超えて先に進んでしまうか。

美しいもの、手触りのよいもの、大切なものは、写真には撮れないけれど、それを継承したり、話し合ったり、共有することにはとても意味があると、再び感じる朝の始まり。

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解禁

父が後半に取り組んでいた仕事として、メロンの蔓や葉を自ら燃やして作った灰を精製したメロン灰による釉薬づくりがあります。植物の灰を釉薬に使う灰釉でもメロンを使う方は少ないと思います。父がメロンを使うことになったきっかけは、東京で個展をした時に、窯のある住所が北海道夕張郡長沼町ということで、夕張ならメロンをやってみたら?という提案だったとのこと。

同じ夕張郡栗山町の農家さんの協力で、厳密には夕張メロンではないもののキングメルティという夕張メロンと同じ品種のメロンが収穫された後、蔓と葉を乾燥させて、専用の炉で燃やすことで得た灰です。収穫後の作業で、ビニールハウスの中で栽培されたものを集めるため、北海道とはいえ、とても暑い中での作業でした。

そのメロン灰を父は陶器と磁器の両方に使い、磁器の方は「メロン灰青白磁」と名付けました。偶然にも、その色合いが薄く緑がかった色で、メロンのイメージと一致することから、「メロンだからメロンのような色になるのですか?」などと聞かれることもありました。これに関しては、メロンの表面の色が高温で焼いた陶磁器の色にそのまま現れることはなく、土と釉薬に含まれる元素の組合せや焼成温度や焼成方法(酸化焼成か還元焼成)により決まります。

天草陶石にメロン灰の釉薬を掛けた「メロン灰青白磁」は、後半の父の仕事の主軸となっていきました。今、私が使っているりんご灰釉は、父がメロンの灰を使うようになる前に使っていたものです。ゴールデンウィークには、近所の農家さんにトラックを借りて、冬の間にりんご農家さんが剪定したりんごの枝を薪ストーブで燃やした後の灰をもらうため、仁木町や余市町のりんご農園を何軒も回って灰をいただきました。子どもの頃にどこかに遊びに連れて行ってもらった記憶はなく、このゴールデンウィークに灰をもらいにトラックで遠出をする、というのがちょっとした楽しみでもありました。

そんな灰は、集められ、質のよいものを水簸し、釉薬の原料として保管できるように処理していました。

父が病気で作陶できなくなった後、器づくりを始めるきっかけとなったのは、これらの灰の存在でした。

とはいえ、まずはりんご灰を安定して使うことができるようになること。そして、もうすぐ平均余命から人生の半分を迎えようという先日、父からメロン灰の使用許可が出た。いずれはやりたいと思っていたので、驚きの一瞬。そう簡単にはいかないだろうけれど、楽しみです。

メロン灰青白磁
残雪の無意根山

春が来た

今年は春が早い。毎年、隣の水仙が咲くのはもう少し後だったような気がする。我が家の可憐な白いツツジももう花を咲かせている。近所のYさんが春に花が咲くようにと秋に球根を植えてくれた花も咲き始めている。

ツツジの蕾
ツツジ開花
緑が増えてきたサークル

3月のグループ展の片付けなどで、しばらくご無沙汰だった工房に今週から出勤。

冬の間に頼まれていた楕円の深皿の型づくりから。大きくなり過ぎて、もう一回り小さいサイズで作り直し。

それでも、まあまあ大きめのサイズなので、一筋縄ではいかない予感。

お客さまの希望は、サイズもあるけれど、少し縁が立ち上がっていて、スプーンですくいやすいというもの。これは、以前伯母にも介護食に使う時にそういうお皿や鉢があるといいと言われていた。ユニバーサルデザインの器。さらに、ご家族が多いので、ある程度重なることができる、というもの。なかなか難易度高いです。。

ひとつ目の型
切り落とした屑
ひとつ目の型が完成!
ふたつ目の型
カタログを型紙に楕円づくし

うまくできますように。

展示会まであと半月

3月に入り、少し工房が暖かくなってきました。今日は、施釉。少し大きな楕円鉢と深さのある丼があるため、樽の半分ほどに減ってきた釉薬を2つ合わせて1つの樽に移す作業から。

濃度を調整して、施釉。

以前、試験していた珪石を添加した白釉と、カオリンを添加したビードロ釉をカトラリーラストに掛けてみました。

その後、昨年の秋に調合してあった7つ目の樽の釉薬をテストピースに掛けてみました。調合のミスがないとは限らないので、本番の前に必ずテストピースで焼いてみて、確認します。そのためには、釉薬が十分残っているうちに、次の釉薬の調合を行う流れになります。

展示会の方は、ほぼ計画どおりに準備が進んでいて、私は週明けにかけて一度窯を焚いて、ご案内を送ったり、備品の準備と、窯出し後に納品リストを再度修正して、売上管理のためのシール貼りなど。

その他、今回小さな写真のパネルなどを印刷するので、画像データを選んだり、加工したりと、制作以外のことが多かったけれど、けっこう好きな作業なので、どんな感じになるか展示が楽しみ。

多くの方々のご協力で、リーフレットの配布も完了
いつもより、やや暗い色味に見える

成形完了

今回の素焼きのための成形は完了したので、冬の間作業していた居間の作業台や簡易的に段ボールで作っていた乾燥スペースや道具類をひとまずあるべき工房へ片付けることにしました。

今日は暖かく、今までサボっていた除雪、灯油の給油タンクやガスや水道の検針のメーターの近くも雪が積もっていたので、道をつけていると、楽しくなってきて、屋根の雪が落ちてたまっているところを崩したり、1時間半くらい夢中になってしまいました。

雪降ろしは1人でやらないように、というけれど、天気もあるし、いいタイミングで日中作業するとなると、1人でやらざるを得ない。

そんな作業を共同でできる仕組みがひとり世帯が増えると必要だと感じます。

先日の寒い日の雪
最後に作った四方皿。高台が八角形になっています
ガレットとミルクティー

今回は、初めて挑戦したティーポットとティーカップがどう仕上がるかが楽しみです。