池上ふくみさんのこと
〈文: 「クラシ・ヲ・アソブ』主宰、季刊紙「四季の味」元編集長 八巻元子さん>
池上ふくみさんは北海道夕張郡長沼町で作陶しておられる陶芸家。四季の味時代にお世話になった岩井孝道さんのお嬢さんだ
岩井さんといえばメロン灰釉。凜とした佇まいながらどこか優しくて盛りやすいので、編集室の撮影でも数え切れないくらい使わせていただいた
ふくみさんからご連絡をいただいたのは三年くらい前だったかしら
会いたいので幼いお嬢ちゃんを連れて鎌倉へ足を運んでくれるという
現役を退いてはや幾とせ、しかもお会いしたこともないのに嬉しいじゃありませんか!
七里ヶ浜『虹』でフッキーのおもてなしを受けた楽しいひとときは今もまざまざと甦る
お父様とは何度か食事を共にしたことがあるだけに感無量
ご縁て素敵だなあ
そのふくみさんに昨日器を送っていただいた
“りんご灰釉オクラ文飯碗”と”緋襷菱形向付。
さっそくたおやかな形の飯碗でご飯を食べた
不思議ではあるが、飯碗によってご飯の味が変わることを経験なさった方は少なくないと思う
ふくみさんの飯椀で食べる井上農場のつや
姫”は格別の味であった
一方の向付は、結わえた事が高温で文字通り欅状の緋色を成す
菱形の器は結構盛りづらいことが多いが、ふくみさんのこれは見込みの深さや形状がイメージを喚起してくれる
ちょっと乱暴だけど、飯碗と向付に同じ料理を盛ってみた
料理は、昨夜食べ切れなかったイシナギの刺身をマリネしたのに、空豆とルッラ、石田くんのレモンを合わせ、富士酢プレミアムと微量のきび糖で調味したもの
どう?いずれが菖蒲か杜若ってとこじゃない?
#まさに器は料理の着物
八巻元子さんと